【心理学で学ぶ青年期】アイデンティティ・孤独感・可能自己をめぐる成長のプロセス
青年期とは、子どもから大人へと移行する重要な時期です。
本記事では、青年期における発達課題や心理的特徴を、代表的な理論とともにわかりやすく整理します。
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1. 青年期とは何か?
青年期は、児童期から成人期への移行期間であり、親に依存する子どもから、自立した大人へと変化するための試行錯誤の時期です。
かつては12〜22歳程度とされていましたが、現代では以下の要因から青年期はおよそ20年(12〜32歳頃)に広がっていると考えられています。
産業構造の複雑化
学校教育の長期化
「一人前」の定義の曖昧さ
大人と子ども・若者の境界の不明確化
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2. マーカスとニューリアスの「可能自己」
マーカスとニューリアスは、「まだ実現していない自己のイメージ」を**可能自己(Possible Selves)**と名づけました。
可能自己の3つのタイプ:
なるだろう自己:公務員として安定した生活を送る
なりたい自己:有名シンガーになって成功する
なることを恐れている自己:夢破れ生活が破綻する
→ 青年期はこうした多様な可能性を模索する時期です。
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3. 榎本による孤独感の6類型
榎本は青年期に顕著な孤独感を、以下の6タイプに分類しました。
1. 価値のある沈黙としての孤独感
趣味に没頭し、孤独を自己成長の糧とする
2. 自己疎外による孤独感
「自分はダメな人間」と感じ、他者との接触を避ける
3. 個別性の自覚による孤独感
「他人と無理に合わせなくてもいい」と思い、自ら距離をとる
4. 親密な世界の崩壊による孤独感
信頼していた仲間に裏切られ、人間不信に陥る
5. 孤立による孤独感
自己中心的な振る舞いにより、知らぬ間に周囲と断絶
6. 自己縮小感による孤独感
大きな挫折により、「自分には価値がない」と感じる
→ 青年期の心理的揺らぎを捉える貴重な視点です。
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4. アイデンティティの確立という課題
青年期の主要課題は「アイデンティティ(自我同一性)の確立」です。
これは、自分自身の価値観や信念に基づき、**「自分がどう生きるか」**を選び取っていくプロセスです。
これがうまくいかないと、以下のようなアイデンティティ拡散に陥ることがあります。
自分のやりたいことがわからない
無職や目的のない生活が長引く
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5. 社会心理的モラトリアムとは?
エリクソンは、青年期を**「社会心理的モラトリアム(psychosocial moratorium)」**と定義しました。
これは、青年が社会的責任から一時的に解放され、さまざまな役割を試す期間です。
具体例:
ワーキングホリデー
ボランティア活動
→ この「自由な猶予期間」の中で、青年は自分の適性や将来像を探っていくのです。
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おわりに
青年期は、可能性に満ちた一方で、不安や孤独、葛藤も大きい発達の過渡期です。
心理学は、その揺らぎを捉え、個人が自分自身を確立していくプロセスを支える視点を提供してくれます。
あなたや周囲の若者が抱える悩みも、心理学を通して見つめ直せば、新たな理解と希望が生まれるかもしれません。