学習とは「変化」である
教育心理学において「学習」とは、単に知識を覚えることではありません。より広く、「経験によって比較的持続的な行動の変化が生じること」と定義されています。
たとえば──
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自転車に乗れるようになる
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英語の発音を少しずつ聞き取れるようになる
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苦手だった上司との関わり方を工夫するようになる
こうした変化もすべて「学習」です。ポイントは、「行動に変化が見られること」と「それが比較的持続していること」です。
一方で、「ただ聞いただけで何も変化しない知識」や「偶然の一時的変化」は、学習とは呼びません。
学習は「能力×動機×環境」
では、学習の成否を左右する要因とは何でしょうか? 教育心理学では、次の3つがしばしば取り上げられます:
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学習者の能力(知的能力、身体的能力、基礎スキルなど)
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学習者の動機づけ(やる気、関心、自己効力感など)
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学習環境の整備(教材、教室、ICT、教員の指導など)
この3つは互いに影響し合います。
たとえば、能力があってもやる気がなければ学習は進まず、やる気があっても環境が悪ければ十分に能力を発揮できません。
「学習」と「成長」の違いとは?
ここで少し混乱しやすいのが、「学習」と「成長」の違いです。
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成長:年齢的・生物学的に自然に生じる変化(例:身長が伸びる)
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学習:環境や経験を通じて得られる変化(例:自転車に乗れるようになる)
教育心理学では、意図的な教育が関わる「学習」に着目します。
教育心理学がめざすもの
教育心理学は、「どうすれば人はよりよく学べるのか」を科学的に探求する学問です。
その対象は子どもに限らず、大学生、社会人、高齢者まで幅広く含みます。
学びのメカニズムを知ることで、より良い教え方・学び方が可能になる──本シリーズでは、そんな教育心理学の基本的視点を、少しずつ掘り下げていきます。
(次回は「学習の理論──行動主義・認知主義・構成主義」について取り上げます)