心理学勉強記録

このブログは、心理学を学んでいる私が、日々のテキストを自分なりに解釈しながらアウトプットしていく記録です。 主に自分自身の復習用として作成していますが、心理学に興味のある方、これから学び始める方にとっても、何かしら参考になる部分があれば幸いです。

福祉心理学入門⑩ 認知症の理解と支援──“その人らしさ”を支えるケアの視点

※本記事は、ミネルヴァ書房『福祉心理学』(渡部純夫・本郷一夫 著)をもとに学習・要約したものです。


認知症の定義と現状

認知症とは、「一度獲得された認知機能が持続的に低下し、日常生活に支障をきたす状態」を指します。
高齢化の進行とともに患者数は増加しており、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると予測されています。

  • 原因疾患:アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型など

  • 認知症は「病名」ではなく、「症候群(さまざまな病因による共通の状態)」として理解することが大切です。


■ 中核症状とBPSD(行動・心理症状)

認知症の症状は大きく2つに分類されます。

◯ 中核症状(脳の器質的変化による)

  • 記憶障害(とくに新しい記憶)

  • 見当識障害(時間・場所・人物の混乱)

  • 判断力・理解力の低下

  • 実行機能障害(段取りができない)

◯ BPSD(行動・心理症状)

  • 幻覚・妄想、暴言・暴力、不安、徘徊、抑うつ、介護拒否など

  • BPSDは、環境や人間関係との相互作用の中で生まれる

認知症支援では、中核症状を受け止めながら、BPSDをどう予防・緩和するかがカギとなります。


認知症心理的理解

認知症のある人は、記憶や認知の混乱によって「自分が誰なのか分からない」「世界が不安でいっぱい」という心理状態に陥りがちです。

  • そうした混乱や不安が、攻撃的な言動や拒否反応となって表出することがある

  • 支援者は「問題行動」としてではなく、「困りごとのサイン」として理解する視点が必要

認知症の人の内面に寄り添う“共感的理解”が支援の出発点です。


認知症ケアの基本姿勢

認知症ケアの原則は、「その人らしさの尊重」にあります。
以下が特に重要です。

  1. 安心感の提供(決して否定しない、笑顔・ゆっくりした対応)

  2. 環境整備(見慣れた物・場所・人を整える)

  3. 生活リズムの維持(食事・睡眠・排泄などの安定)

  4. 役割の再発見(小さな手伝いや趣味の継続)

支援者の対応一つで、認知症の方の行動は大きく変わることがあります。


■ 家族支援と多職種連携

認知症のケアは、本人だけでなく、家族への支援も不可欠です。

  • 「介護うつ」「介護離職」など、ケア負担による深刻な問題も多数

  • 家族への心理教育や相談支援、レスパイト(休息)サービスの導入が重要

さらに、医療・看護・介護・心理職・地域包括支援センターなどとの多職種連携が効果的なケアを実現します。


認知症と地域社会の在り方

近年では、「認知症になっても安心して暮らせる地域づくり」が求められています。

  • 認知症サポーターの育成

  • 認知症カフェ、地域支援ネットワークの構築

  • 本人主体の意思決定支援(ACP: アドバンス・ケア・プランニング)

認知症を「ケアの対象」としてだけではなく、共に生きる隣人として尊重する社会的視点が大切です。


■ 心理職の役割

心理職は、認知症の人やその家族の思いに寄り添い、感情の言語化・葛藤の整理・希望の再構築を支援します。

  • 傾聴・受容による安心感の提供

  • 家族との関係調整やケアチーム内での支援調整

  • ライフレビューや回想法の活用

本人の「物語」を大切にするナラティヴな支援は、認知症ケアにも応用可能です。


■ まとめ──「記憶が消えても、心は残る」

認知症になると、記憶や判断力は衰えても、「感情の記憶」や「人とのつながりの感覚」は長く保たれます。

だからこそ、**「その人の物語に寄り添い、尊厳を支える支援」**が、福祉心理学に求められています。

認知症とは、ただの“記憶の病”ではなく、“関係性の病”でもあります。
支援とは、記憶に残らなくても、心に残る関わりを積み重ねることなのです。

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