1.不安障害(Anxiety Disorders)
成人の約9%が経験するといわれています。不安の対象によって性質や不適応行動の程度が異なるため、いくつかの診断分類があります。
社会恐怖(社交不安障害)
対人場面で強い恐怖を感じるために著しい苦痛が生じ、社会生活の機能が困難になります。
パニック障害
突発的で強い不安(パニック発作)を特徴とし、心拍数の増加、発汗、めまい、震え、息苦しさなどを伴います。発作は心臓発作のように感じられることもあります。ストレスの高い環境や混雑・緊張する場所(例:電車)で起こりやすいとされています。
強迫性障害(OCD)
不安を軽減するために特定の行動を繰り返す(強迫行動)または同じ思考を反復する(強迫観念)障害です。
例:何度も手を洗う、ドアや鍵の確認を繰り返す、儀式的な行動パターンなど。患者本人も行動の不合理さに気づいていますが、やめられないことが一般的です。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
命の危険や重大な脅威を感じる出来事(心理的トラウマ)にさらされた後に発症します。
原因例:交通事故、虐待、戦争体験、自然災害、いじめなど。
症状例:不眠、怒り、不安状態、トラウマ関連刺激の回避、フラッシュバック(出来事が目前で再現されるような追体験)。
治療では**エクスポージャー(暴露法)**を基礎とした介入が効果的であることが知られています。
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2.パーソナリティ障害(Personality Disorders)
パーソナリティ障害とは、その文化の一般的な成人像から大きく逸脱し、その結果として社会適応が著しく困難になったり、心理的問題や症状が頻発する状態を指します。
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3.発達とかかわる心理障害(Developmental Disorders)
子どもの発達段階の特定時期に現れる、心理的機能(例:言語スキル)の遅れや偏りを総称して発達障害といいます。
主な分類は以下の3つです(重複して発現する場合や、二次障害を伴う場合も少なくありません)。
1. 広汎性発達障害:社会性やコミュニケーション能力の発達に歪みがあり、特異な行動が見られます。
2. 知的障害(精神遅滞):全般的な知的能力の発達に遅れがあり、学習やスキル獲得に時間がかかります。
3. 学習障害(LD)および注意欠如・多動性障害(ADHD):知的発達は正常範囲ですが、特定領域に困難があります。
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(1)自閉症スペクトラム障害(ASD)
広汎性発達障害の一種で、生物学的基礎を持つ神経発達障害です。
特徴:社会的相互作用やコミュニケーションの困難、関心の狭さ、特定行動の反復。
分類例:自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、レット障害、小児期崩壊性障害。
(2)注意欠如・多動性障害(ADHD)
不注意、多動性、衝動性を特徴とし、小学校入学前後に発見されやすい発達障害です。
症状により学業や対人関係に困難が生じ、「問題児」とみなされることもあります。成人後も症状が持続するケースが多く、生涯を見通した心理アセスメントや支援が重要です。
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🔚 まとめ
不安障害は多様な症状と原因を持ち、エクスポージャー療法などの心理的介入で改善が期待できます。
パーソナリティ障害は文化的基準からの逸脱が社会適応を阻害します。
発達障害は早期発見と生涯支援が重要であり、ASDやADHDなど複数タイプがあります。