心理学勉強記録

このブログは、心理学を学んでいる私が、日々のテキストを自分なりに解釈しながらアウトプットしていく記録です。 主に自分自身の復習用として作成していますが、心理学に興味のある方、これから学び始める方にとっても、何かしら参考になる部分があれば幸いです。

【臨床心理学入門⑳】精神力動アプローチ②──現在の展開と適用範囲

精神力動アプローチの現在と新たな展開

 

●短期力動的心理療法

近年では、レスター・ルボルスキーやジョージ・シルバーシャッツ、さらにダオアナ・フォーシャらによって展開された短期精神力動的心理療法が注目されています。

従来の数年単位の長期療法と比べ、12〜40回程度という限られた面接回数で構成されるのが特徴です。セラピストは「中立性」を保つよりも、能動的に関わり、クライエントの感情表現や対人関係に焦点を当てるスタンスを取ります。

 

この短期療法の発展背景には、現代社会のニーズがあります。治療にかけられる時間や経済的資源が限られているなかで、「より短い期間で有効な変化を得る」ことが求められ、研究と実践が積み重ねられてきました。

 

 

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●治療効果

数年間にわたる本格的な精神力動的治療は、効果測定が非常に難しいとされています。これは、認知行動療法のように「症状軽減」を目標とするのとは異なり、精神力動的アプローチでは人格構造や無意識的関係性の変化が重要視されるからです。

そのため単純な比較は困難ですが、近年の研究──特に短期力動的心理療法に関する研究では、アプローチ間の効果差は大きくないことが示されています。

 

 

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●転移の重要性

精神力動的療法の核となるのが転移です。クライエントはセラピストとの関係の中で、過去の重要な他者との関わりを再現することがあります。この転移を通して、これまでの不適応な対人パターンが浮き彫りになり、治療の場でより健康的な関係性へと修正される契機となります。

転移は治療を進める上で欠かせない現象であり、セラピストはこれを理解し活用する姿勢が求められます。

 

 

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●適用範囲

精神力動アプローチがどのようなケースに適しているかは、はっきりと論じられることが少ないのが実情です。

松木(2005)は、以下のように整理しています。

 

初心者に適したケース

 ヒステリー、恐怖症(不安ヒステリー)、強迫神経症など、転移が生じやすい「転移神経症」。

 

初心者が避けるべきケース

 精神病圏、心気症、中核的接触障害、性倒錯、嗜癖自傷・自殺傾向の強いパーソナリティ障害、強い引きこもりを伴う自己愛性パーソナリティ障害。

 

 

これらは治療関係の形成が難しく、リスクも高いため、経験の浅いセラピストが扱うのは望ましくないとされています。

 

 

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今回で精神力動アプローチの解説は終了です。

次回からは、ロジャーズやマズローに代表されるヒューマニスティックアプローチを取り上げていきます。

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