はじめに
「相関がある=因果がある」と思い込んでいませんか?
統計学ではこの2つをきちんと分けて考えます。
今回は、心理統計でとても大切な「相関」の基本をやさしく整理します。
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1.相関とは
相関とは、二つのデータの間にどのくらい関係があるかを表すものです。
たとえば「身長が高い人ほど体重が重い」というような関係を見つけたいときに使います。
ただし、相関が示すのは「直線的な関係」だけです。
曲線的な関係や複雑なパターンは相関では捉えられません。
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2.似ているけれど違う3つの関係
相関:二つのデータが一緒に増えたり減ったりする関係。
独立:お互いにまったく関係がない状態。
因果:一方が原因となり、もう一方が結果として変化する関係。
大事なのは「相関があっても因果とは限らない」という点です。
たまたま同じ方向に動いているだけのこともあります。
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3.相関を調べるには
相関を確認する方法は主に二つあります。
1つ目は、データをグラフにして全体の並びを見ること。
右上がりなら「正の相関」、右下がりなら「負の相関」と言えます。
2つ目は、数値でどのくらい関係があるかを表すこと。
このとき使うのが「相関係数」と呼ばれる指標です。
値が1に近いほど強い関係があり、0に近いほど関係が弱いと考えます。
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4.相関係数の読み方
0に近い:ほとんど関係がない。
プラスに大きい:片方が増えると、もう片方も増える。
マイナスに大きい:片方が増えると、もう片方は減る。
ただし、「関係がない」と見えても、曲線のような形の関係が隠れていることもあります。
つまり、数字だけで判断すると間違えることがあります。
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5.相関があっても因果とは限らない
次の例を考えてみましょう。
小学1年生から6年生までのデータを集めて、
「算数のテストの点数」と「握力」の関係を調べたところ、
強い相関が見られました。
しかしこれは「算数が得意だから握力が強い」という意味ではありません。
実際には、「学年」という第三の要因が両方に影響しています。
学年が上がれば勉強の内容も体の成長も進むため、どちらも自然に上がるのです。
このように、背後にある別の要因が関係して生じた見せかけの関係を「疑似相関」と呼びます。
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6.疑似相関を見抜く方法
疑似相関を避けるためには、第三の要因を分けて考えることが大切です。
たとえば「学年ごとに分けて分析する」と、本当に関係があるかどうかを見極められます。
このようにデータをグループに分けて比較することを「層別化」または「統制」といいます。
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7.まとめ
相関とは、二つのデータの直線的な関係を表すもの。
相関があっても、必ずしも因果関係があるとは限らない。
背後にある要因が作り出す「疑似相関」に注意が必要。
正確に判断するには、層別化や統制が欠かせない。
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