治療目標
実存療法において焦点が当てられるのは、人が自分自身を作り出す力である。
その人が現在の状況に十分に、そして主体的に関与できているかどうかが重視される。
クライエントが自分の人生の主体として、自身の恐怖・希望・不安といった感情を十分に体験できるように促すことが中心的な目標である。
実存療法から見た中心的な心理的問題は実存的神経症である。これは人生の意味を見いだすことができないことによって生じる苦悩を指す。
面接プロセス
実存療法の中心にあるのは治療関係である。
セラピストとの出会いは新たな出会いであり、それによってクライエントに新たな地平が開かれると考えられる。
セラピストはクライエントから感情的な距離を取るのではなく、一人の人間としてその場に現前することが求められる。
また、心理療法を受けるタイミングも重要である。
実存療法では、変化が起こりやすい決定的な時を**カイロス(Kairos)**と呼び、このような好機には急速で大きな変容が起こる可能性があるとされる。
実存療法は厳密な理論モデルとして体系化されたものではない。
二人の人間の出会いを重視するため、特定の技法を強調することには慎重な姿勢を取る。
まとめ
実存療法は、特定の技法や手順を重視する心理療法ではない。
むしろ、人がどのように生きるのかという「存在そのもの」に焦点を当てる心理療法である。
そのため、セラピストは専門家として距離を取るのではなく、一人の人間としてクライエントと向き合うことが求められる。二人の人間の出会いそのものが、クライエントに新しい気づきや意味をもたらすと考えられている。
実存療法が扱う問題は、症状そのものよりも「人生の意味」や「生き方」である。人は誰しも、自由であるがゆえの不安や孤独、人生の意味への問いと向き合わなければならない。実存療法は、そのような根源的な問いに向き合いながら、クライエントが主体的に自分の人生を引き受けていくことを支援する心理療法である。
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