これまで平均・ばらつき・相関といったテーマを通して、
「データをどう要約するか」を見てきました。
でも、ここからはもう一歩踏み込みます。
「あることが起こったとき、別のことがどのくらい起こりやすくなるのか」――
この“関係の深さ”を確率で読むのが、今回のテーマです。
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☁️「雨が降ると電車が遅れる」って本当?
たとえば、「雨が降ると電車が遅れる」と言われることがあります。
確かにそんな気がしますが、果たして本当にそうでしょうか。
これを確率の言葉で言うと、
「雨(A)が降ったときに、電車が遅れる(B)確率」になります。
式で書くと次のようになります。
> P(B|A)=P(AかつB)/P(A)
つまり、“雨が降った日の中で、実際に遅れた日の割合”です。
この考え方を条件付き確率といいます。
「AならばBが起こる確率」――つまり“ならば”の世界を扱うのです。
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💉「陽性=病気」とは限らないという現実
次は少し現実的な例です。
ある病気Sの罹患率(かかる確率)が1000人に1人だとします。
検査キットTの性能は次の通りです。
病気の人が陽性になる確率は99%
病気でない人が陰性になる確率は99.5%
では、「陽性」と出た人が本当に病気である確率はどのくらいでしょうか。
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🧮 計算してみましょう
まず、病気の人が陽性になる確率は
1000人に1人が病気で、その99%が陽性なので、1000分の0.99です。
次に、病気でない人が間違って陽性になる確率(偽陽性)は、
1000人中999人が健康で、その0.5%が陽性なので、1000分の4.995です。
したがって、陽性と出る人全体は
0.99+4.995=**5.985(1000人あたり)**です。
実際に病気で陽性になる人の割合は、
0.99 ÷ 5.985 ≒ **0.165(約16.5%)**となります。
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😳 意外に低いと思いませんか?
「陽性=ほぼ病気」と思いがちですが、
実際には6人に1人しか本当に病気ではありません。
つまり、病気そのものが“まれ”な場合、
いくら検査精度が高くても「陽性=確定」とは言えないのです。
これが、条件付き確率の怖さであり、面白さでもあります。
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🎂「同じ誕生日の人がいる確率」は意外と高い
もうひとつ、有名な確率の話を見てみましょう。
1クラス30人の中で、同じ誕生日の人がいる確率はどのくらいでしょうか。
多くの人は「せいぜい10%くらいじゃない?」と思うかもしれません。
しかし、実際は――70%以上あるのです。
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🔍 考え方はこうです
まず、「全員の誕生日がバラバラである確率」を考えます。
1人目は自由に生まれ日を選べます。
2人目は364/365、3人目は363/365…と続いていきます。
これを30人分すべて掛け合わせると、
「全員が違う誕生日である確率」は**約0.29(29%)**です。
つまり、「誰かが同じ誕生日である確率」は
1−0.29=**0.71(71%)**となります。
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🧠 数は感覚を裏切る
人の直感は、確率の世界ではよく裏切られます。
「そんなことめったにない」と思う出来事が、
実はかなりの頻度で起きていることも少なくありません。
確率を学ぶ意義は、まさにそこにあります。
> 感覚や思い込みではなく、
「どのくらい起こり得るのか」を数で判断できるようになることです。
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✍️ まとめ
「AならばBが起こる」を確率で表すと P(B|A)になります。
条件がつくと、確率の意味は大きく変わります。
感覚に頼らず、「本当に起こり得るのか?」を数で考えることが大切です。
確率を学ぶことは、
見た目や印象に惑わされない“思考の筋力”を鍛えることでもあります。
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